兄妹冷戦

俺の妹がこんなに可愛いわけがない(11) (電撃文庫)俺の妹がこんなに可愛いわけがない(11) (電撃文庫)
伏見 つかさ かんざき ひろ

アスキー・メディアワークス 2012-09-07
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 伏見つかさ氏の『俺の妹がこんなに可愛いわけがない11』を読了。あやせの告白で終わった前巻の続きはどこへやら、京介と麻奈美、そして桐乃の過去が語られる。雰囲気の違う巻どころではない。語り手の性格が違うと、こうも違って見えるものか。過去も現在も、高坂兄妹を救った麻奈美は、ラスボスではなく、むしろシスタか(妹でも姉でもなく)。
 そして、あとがきを経て。最終12巻プロローグにて、あやせの告白エピソードが、11巻のラストに繋がる。残るは最終エピソードの12巻のみ。間違いなく、最終巻がもっとも面白くなりそうだ。『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』の最終巻を期待しないわけがない。

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それが、実弾だ。生活に打ち込む、本物の力。

現象以外

ココロコネクト ステップタイム (ファミ通文庫)ココロコネクト ステップタイム (ファミ通文庫)
庵田定夏 白身魚

エンターブレイン 2012-06-30
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 庵田定夏氏の『ココロコネクト ステップタイム』を読了。シリーズ8巻目、2度目の短編集。最初の短編集と同様、メインの長編では扱われない、キャラクタ色を前面に出した、読者サービスのような作品。文研部創設時の話、稲葉と伊織の友情の話、デートとデートとデートの話、それに、リア充を研究する話。これまでの長編にあった痛さや重さはほとんどなくて、クサさと恥ずかしさがてんこ盛り。って、前短編集と同じ感想だよ。
 あえて同じような構成にしたのか、最後の1編は、次巻に続く話となっている。レギュラメンバ以外の、サブキャラメインエピソード、みたいな。ただ、全編通して視点の移動が多く、それが誰だか、すぐに把握できない。語りがみんな似ているんだよ。むしろ、現象の起こった『ヒトランダム』の方が解りやすかったかも。ともあれ、コメディを求める人には楽しめる内容。
 あとがきが1ページで少ないのは良かったけれど、自作の紹介や宣伝ばかりだというのがなんとも。あとがきのない小説に慣れていると、ライトノベルのあとがきには、違和感を持つことが多い。まあ、物語は面白いので、次巻のラストエピソードを楽しみに待とう。
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最終試練

絶園のテンペスト(8) (ガンガンコミックス)絶園のテンペスト(8) (ガンガンコミックス)
城平 京 彩崎 廉 左 有秀

スクウェア・エニックス 2013-01-22
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「誰が どうやって何のために 私を殺害したか? その謎を 今こそ私が解き明かしましょう」

 『絶園のテンペスト8』を読了。不破愛花によって、ついに不破愛花殺人事件の犯人が明かされるのだが、やはりいつもの城平京。「意外な解決」や「意外な真相」ではなく、地味でも、着実に犯人に至る伏線や手掛かりを残している。デビュー作から、その傾向はあるけれど、前人未到の大トリックといった作品はなく、先例のある手法を組み合わせ、先例のない物語を組み立てている。真相を知って、葉風が慟哭する場面は、瀬川みゆきを彷彿とさせる。「頼むから、そんな安易な物語を唱えないでくれ」
 アニメ放送開始時点で、連載誌では犯人の正体が明かされていたようだけど、そのようなネタばらしを見なかったのは幸い。タイトル通り、『テンペスト』の結末に至るのなら、愛花のメッセージが、吉野と真広の最後の救いとなるのだろう。次巻が最終決戦で完結か。アニメと同時に連載が終わるようなので、原作基準で放送されると考えておこう。外伝の掲載を楽しみにしている。
 一方、地味な探偵、地味な犯人と違い、これまでにない活躍をしたのが羽村めぐむ。愛花のバックアップとしての魔法使いだったため、知識と精神の構成が追いついていなかったようだけど、本巻でついに、絶園の魔法使いの片鱗を見せる。絶園パーンチ! このシスコンがーっ! みたいな。つうか、愛花が過去の主役なら、現在の主役は羽村だろ。つまり本作は、意外な犯人ではなく、意外な主人公に驚く作品だったのだ(ノ゚⊿゚)ノびっくり!!

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カステラ

かすてぃらかすてぃら
さだまさし

小学館 2012-04-05
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「おい、とうとう、お前は自分の歌に追いついたなあ! いや、出来た。良くなったなあ」

 さだまさし氏の『さだのヤバいじいちゃん』を──って、違うよ、間違えた。『かすてぃら 僕と親父の一番長い日』を読了。BGMは『父を送る』。内容は、副題の通り、僕と親父の一番長い日。「親父の一番長い日」を知らない方には、歌手さだまさしと父親、その家族を巡る物語と説明しておく。
 どこかで聞いたような話ばかりだなと思ったのは、さだ氏のコンサートでのトークや曲の歌詞で、折に触れて聞いていたからだろう。さだ氏の曲は、家族を唄ったものが多いのだ。当然、本書で初めて知ったエピソードもある。父親の荒唐無稽さ、破天荒振りが良く解る。昭和30年代とはいえ、ヤクザの親分から、伯父貴と呼ばれる堅気の男って、とんでもない親父だよ。
 父親の物語を軸に、家族や周囲の人たちの話を混ぜる構成は、曲の合間にトークを混ぜる、父との思い出を語る、さだ氏のコンサートを思わせる。ただ、これまでの作品と違って、小説のような感じがしなかった。理由のひとつに、空行の多用が上げられる。強調したい科白や場面など、左右の行を開ける手法は『精霊流し』のころから使われていたけれど、本書ではそれが多過ぎる。ここは繋げても良いのでは、と何度思ったことか。歌詞を集めて、小説の体裁にしたような印象を受けた。初の実名小説ということで、文章の書き方が変わってしまったのかね。とはいえ、泣かせ所、感動させ所が解っているのは、さすがさだまさし
 
 以下は個人的なことだけど。さだまさしデビュー30周年記念コンサートの大阪会場で、ホールの出入口でお客さんに囲まれて、挨拶や握手をしていた年配の方を見掛けたことがある。あの人はいったい誰だろうと、一緒に行った、さだまさし研究会の方に訊ねたところ、さだ氏の父親、雅人氏だと知って驚いた覚えがある。さだ氏本人ならともかく、父親がどうしてあんなに人気なのだろう。
 当時の僕は、さだ氏のCDを集めている途中で、父親とのエピソードをほとんど知らなかった。しかし、今なら納得できる。ある意味、さだ氏よりもすごい人なのだ。本書を読み終えた今、尚更そう思う。あれはもう、10年近くも前になるのか。せめてもう1度、大阪にいるうちに、さだ氏のコンサートに行きたいものである。
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I’ve

G.C.BEST -I've GIRL's COMPILATION- 初回盤G.C.BEST -I've GIRL's COMPILATION- 初回盤

I've 2012-06-29
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 みんな大好きFUCK ME ! みんなで歌おうFUCK ME !

 I'veの『G.C.BEST -I've GIRL's COMPILATION-』の初回特典セルフライナー・ブックレットを読了。本書は、ライナーノーツとインタビューで構成されている。確かに、「FUCK ME」からI'veが始まったというのが、ファンの共通認識かもしれない。『regret』の1曲目で受けた衝撃は忘れられない。CDを間違えて買ったと思って、ケースのタイトルを見直したくらい。10年以上経とうが、間違いなく名曲。
 I'veの代表にしてメインコンポーザの高瀬一矢氏、結成時からのメンバでコンポーザの中沢伴行へのインタビューは興味深く読めた。I'veのアナログ盤時代、高瀬氏や中沢氏のルーツ・サウンド、そして、FUCTRY RECORDSの設立。なるほど、こういう経緯があって、I'veが誕生したわけか。これは、歌姫たちでは話せないことだよな。
 印象に残ったのは、詩月カオリ嬢が、最初から魔法使いみたいだったということ。さもありなんというか、イメージ通りだよな。パワーストーンを作る会って、島みやえい子先生も面白いことを企画している。I'veのメンバは詩月嬢の歌を認めているのに、本人が「やる」と言わなくて、最初の曲の収録までに、半年掛かっているというのが、なんとも詩月嬢らしい。
 今でこそI'veがメジャになってきたとはいえ、アダルトビデオの制作会社のような外観のスタジオで、スタジオ内はエロゲのポスタばかりが貼ってあり、AV監督か猟奇殺人犯のようなルックスをした高瀬氏の元に、将来のある若い女の子たちを連れてきたえい子先生がすご過ぎる。いや、高瀬氏との間に、それだけの信頼があったからだろうけど、若い女の子が、エロゲの歌に抵抗があるのは当然だよ。
 と思っていたけれど、平成生まれのLPSは、結構あっけらかんとしているみたい(そうか、アニメでのI'veしか知らない人がいても不思議ではないのか)。それこそ、I'veがこれまで築いた軌跡があるからだろう。
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最強伝説

 オレは… 何も… 掴めなかった けど……!

 正月休みに、『最強伝説黒沢』(全11巻)を読み返した。44歳の歳男、黒沢の叫びや痛み寂しさが、とんでもなく沁みる( ノД`)シクシク… カツ弁にアジフライが追加されていることに気づいてやれよ。片隅の人が頑張る姿には共感してしまう。最終話は何度読んでも泣ける( ノД`)うわぁぁぁーん…

最強伝説黒沢 1 (ビッグコミックス)最強伝説黒沢 1 (ビッグコミックス)
福本 伸行

小学館 2003-06-30
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最強伝説黒沢 11 (ビッグコミックス)最強伝説黒沢 11 (ビッグコミックス)
福本 伸行

小学館
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クラクラ

ビブリア古書堂の事件手帖 2 栞子さんと謎めく日常 (メディアワークス文庫)ビブリア古書堂の事件手帖 2 栞子さんと謎めく日常 (メディアワークス文庫)
三上 延

アスキー・メディアワークス 2011-10-25
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「だ、大丈夫ですよ……ほら、五浦さんはまだ働き始めたばかりですし……少しずつ憶えていけばいいんです。今は全然ダメでも!」

 三上延氏の『ビブリア古書堂の事件手帖2 栞子さんと謎めく日常』を読了。前作の感想で、これまで読んだメディアワークス文庫の中では、断トツに面白いと書いたのだが、一般のミステリと比べても、遜色のない作品である。前作では気づかなかったけど、越島はぐ氏って、同レーベルの『パララバ -Parallel lovers-』でイラストを描かれていた方なのか。挿絵や萌え要素は、本書には不要なので、イラストは素晴らしい表紙だけで充分である。電撃文庫で出なかったのは幸いだ。
 ライトノベルでミステリというと、少年少女の物語に重きを置いて、謎解き部分がおざなりになっているものが多いのだが、本作は、伏線の張り方が見事で、そんな情報出ていたかな、と思うことが、きちんと謎解きまでに記されている。
 あとがきによると、ようやく本編が始まったということらしい。シリーズを前提として書いていたようだけど、水準が下がらなかった、むしろそれ以上に面白くなっていたのはありがたい。メディアワークス文庫はライトノベルではないと謳っているから、20歳を越えた青年を主人公にできるのか。
 相変わらず、作者の古書知識がとんでもない。『時計じかけのオレンジ』や『名言随筆 サラリーマン』にこんな秘密があったとは。早速、2008年に配布された、「ハヤカワ文庫の100冊」の小冊子を確かめてみたところ、本作の真相がはっきりと書いてある。リアルタイムな古書ミステリといった感じで面白いな。現実が近過ぎる。後者は、参考文献に堂々と記されていることに(ノ゚⊿゚)ノびっくり!!
 ひとりの作家について詳しい人は何人もいるだろうけど(西村賢太氏なぞ、大好きな作家の魂と暮らしている)、複数かつジャンルの違う作家について詳しく、それをミステリ絡める手腕に脱帽。まさか、物語のため古書情報を集めているという作り方であるまい。そうだとしたら、創作方法が神懸り過ぎている(あるいは迂遠過ぎる)。
 さて、原作はとんでもなく面白かったけど、ドラマはどうなのかね。5週分をHDDに録り溜めているけれど、原作とは別物だと割り切って、えいやっと思い切って見てみるか。
それが、実弾だ。生活に打ち込む、本物の力。

決断思考

武器としての決断思考 (星海社新書)武器としての決断思考 (星海社新書)
瀧本 哲史

講談社 2011-09-22
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 いつ親が死ぬかを考えるなんて不謹慎だという声が聞こえてきそうですが、そういった感情論を廃して、論理的にものごとを考えていったほうが、あとで後悔せずに済みます。

 瀧本哲史氏の『武器としての決断思考』を読了。「この世の全てはこともなし」の管理人さんは、「今年読んだ新書で一番面白い!」と言われているけれど(2011年発売当時)、僕にしてみれば、「これまで読んだ新書で一番面白い!」と言っても過言ではない。まさか、森博嗣氏以外にも、このように直截な言葉を、文章で書かれる方がいようとは。無名著者を新書レーベルの1作目に持ってくるのは、さすがは新興出版星海社。安定感のある老舗では難しい。文庫も、FICTIONSも含め、星海社は面白い作品が多いな。かつての講談社みたいだ、と言ってはいけない。
 新書で244ページ、決して長い本ではないけれど、読了まで8日も掛かってしまったのは、付箋を付けて、栞を挟み、解りにくい箇所は繰り返し読み、前の章に遡るという読み方をしたからで。あたかも、「犯人当て小説」のようだった(という譬えは、ミステリ好きな方には通じるだろう)。作中に書いてある通り、読書はまさに格闘技。それをやらせようとする作品は、とんでもなく久し振り。
 ちなみに、僕が付箋をやたらと貼っている本は、椎名誠氏の『新橋烏森口青春篇』『銀座のカラス』、森博嗣氏の『MORI LOG ACADEMY』シリーズ。他の本にも、栞や付箋を挟んであるけれど、1カ所か2カ所である。しかし本書は図書館で借りたので、付箋はすべて剥がさなければいけない。お金に余裕ができたら買おう。その価値は充分にある。
 買うべきか否かであれば、買うべきである。というのが、ディベート思考の考え方。すべてを理解したわけではないので、これ以上詳しくは書けないけれど、とんでもなく感銘を受けたのが以下の一文。現状維持がもっとも良い、何もしない方が良い、などと考える傾向にあったから、これは本当に衝撃だった。まさしく、ブレないことに価値はない。
 
 先送りとは一見、決断を先送りしただけのように捉えがちですが、実のところは、「決断をしないという大きな決断」をしたことに他なりません。

 ( ゚д゚)ポカーン ( ゚д゚)ポカーン ( ゚д゚)ポカーン ( ゚д゚)ポカーン ( ゚д゚)ポカーン ( ゚д゚)ポカーン ( ゚д゚)ポカーン ( ゚д゚)ポカーン ( ゚д゚)ポカーン ( ゚д゚)ポカーン ( ゚д゚)ポカーン ( ゚д゚)ポカーン ( ゚д゚)ポポポポーン

 新書というと、大学の教授や偉い先生が書いた、真面目でつまらない内容という印象が強く、実際にそういうものしか読んだことがなかったので(森作品を除き)、本書によって、こんなにも面白い新書があることを知った。他の新書はつまらなくても、本書はとんでもなく面白いよ。
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少年少女

少年名探偵 虹北恭助の冒険 フランス陽炎村事件 (講談社ノベルス ハD- 5)少年名探偵 虹北恭助の冒険 フランス陽炎村事件 (講談社ノベルス ハD- 5)
はやみね かおる

講談社 2009-08-20
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「わかってよ、響子ちゃん。僕は、謎を解きたくないんだ」

 はやみねかおる氏の『少年名探偵 虹北恭助の冒険 フランス陽炎村事件』を読了。5年振りの、シリーズ最新刊にして完結巻。毎回のことながら、「少年少女・新本格ミステリ」という惹句は秀逸。本作は、対決、日本のひきこもり対フランスのひきこもり、という感じ。あとがきに、プロット段階での粗筋が書いてあるけれど、それとはがらりと内容を変えた模様。はやみね氏が特異なのは、殺人を扱わない事件で、長編推理小説を書いてしまうことだろう。本作では、メインの事件とは別枠の謎も最終的に解かれるので、ミステリを読み始めた初心者には、なかなか興味深い内容ではないかと。
 最終巻は既に刊行済みなので、時系列では過去のエピソード。前作から5年後の続編というのは、当時の小学生は高校生になっていて、当時大学生だった僕はどれだけ歳を取っているのか、と思わなくもない。その間に、『名探偵夢水清志郎事件ノート』は講談社文庫からも刊行が開始されたけれど、9年前から始まった本シリーズは、未だに文庫化されていない。完結してから定期的に出すつもりなのかもしれないが、そのときに、時系列に配慮した順番で刊行するのであれば、文庫出版部もなかなかやるな、と思える。まあ、おそらく、そんな融通は利かないだろう。(2009/12/27)
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郵政の絆

流星の絆流星の絆
東野 圭吾

講談社 2008-03-05
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「そうだな。もし犯人がわかったら、俺たち三人で殺そうぜ」

 東野圭吾氏の『流星の絆』を読了。ドラマを先行して見ているので、どうあっても原作と比較してしまう。コメディパートは脚本家のオリジナルだろうと思っていた通り、原作はほぼ、シリアスパートのみ。妹の一人称は「しぃ」だったので、僕はてっきり、椎奈とか椎子とか、そういった名前だと思い込んでいた。ドラマで本名を言っていたような気もするけれど、僕の中では、妹=「しぃ」になっている。また、役者さんの科白から、僕は「しぃ」を連想したのだが、原作での表記が「シー」だったため、かなりの違和感があった(ひらがなとカタカナでは柔らかさの感じが違うと思う)。
 違和感というのなら、三兄妹を始め、他の登場人物の性格や設定の違いが大きいので、原作とドラマは別物であるという、これまでに何度も書いたような感想になる。けれど、本作に於いて、どちらが楽しめたかというと、僕にしては珍しく、テレビドラマの方である。役者の演技や、BGMの効果、シリアスとコメディの抑制の利いた脚本など、一流のクリエイタが集まって、面白くならないはずがない。とはいえ、小説がつまらなかったということではない。リーダビリティの高さは、東野圭吾氏の地力である。
 本作は原作発売からテレビドラマ化までの期間が短く、文庫になる前にドラマ化するのだなと驚いた覚えがあるけれど、『新参者』が同じようなパタンを辿っている。ドラマの原作はすべて文庫本だと思い込んでいる人は多いし、ハードカバーが出て間もない時期に、文庫版が出ていないかと訊ねてくるお客さんも結構いる。どうでも良いことだけれど、タイトルだけを聞くと、「郵政の絆」のように聞こえてしまう。民営化することによって、郵政公社を辞めた人たちがどれだけいたことか。(2010/03/14)
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トンカツ

心霊探偵八雲2  魂をつなぐもの (角川文庫)心霊探偵八雲2 魂をつなぐもの (角川文庫)
神永 学 鈴木 康士

角川グループパブリッシング 2008-06-25
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「いいか、八雲。冗談にも程があるぞ。俺は男だ。あいつも男だ。分かるか?」
「意外に古い考えをしているんですね。好きになってしまえば、性別なんて大した問題じゃない。要は後藤さんがどう思っているのかってことですよ」

 神永学氏の『心霊探偵八雲2 魂をつなぐもの』を読了。前作を読んだのは半年前。続編の出ている作品を続けて読まなかったのは、そこまでの吸引力がなかったからである。だから本書も、それほど期待があった訳ではない。
 魂が見えるという設定は、もはや使い古されたものであるし(トンカツの魂が見えるのならインパクト大だけど)、八雲と後藤のコンビも、桜井京介と神代宗を彷彿とさせ、除霊のできない八雲が、駆け引きや交渉といった除霊紛いを行うものの、憑き物落としを知っている者としては、ちゃっちいなと思ってしまう。既存の作品を越えるものなら良いけれど、それ以下であったため、水準以上の面白さというのが感じられなかったのだ。
 けれど本作は、これって同じシリーズなの、と思うくらいに、明らかに面白くなっている。前作は短編集で、登場人物の魅力が小出しという感じだったけれど、本作は長編ということもあり、個々の魅力を上手く引き出しているからか。ミステリ小説ではなく、キャラクタ小説というのが良く解る。今回の主役はどう考えたって、後藤の部下として配属された石井雄太郎。彼が物語に介入しただけで、格段に面白くなっている(石津刑事と被っているような気もするが)。だからまあ、次作は比較的早く読むかもしれない。って、あれ、NHKでアニメ化? 「大人気ミステリー小説をアニメ化」って。前例のない惹句である、「ハイスピード・スピリチュアル・ミステリー」は使わないの?(2010/03/12)
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心霊探偵

心霊探偵八雲〈1〉赤い瞳は知っている (角川文庫)心霊探偵八雲〈1〉赤い瞳は知っている (角川文庫)
神永 学 鈴木 康士

角川書店 2008-03-25
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「ま、僕はどっちでもいい。正直、君の友達がどうなろうと知ったこっちゃないんだ」
 
 神永学氏の『心霊探偵八雲1 赤い瞳は知っている』を読了。ミステリ要素を取り入れたライトノベルという感じ。惹句のハイスピード・スピリチュアル・ミステリーというのは、なんだか良く解らないフレーズだが、まあ、なんとなくその通り。短編3本にオマケエピソード1本の収録。死者の魂が見える斎藤八雲が主人公であるものの、霊の見えることが、謎や推理に絡むことはなく、あくまで、キャラクタ設定としての能力。母親でさえ忌み嫌う八雲の赤い瞳を見て、ほとんどの人間は、悲鳴を上げるか気味悪がるのだが、綺麗だと言う小沢晴香。八雲と晴香の距離の物語かと。(2009/12/23)
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くろねこ

密室から黒猫を取り出す方法 名探偵音野順の事件簿密室から黒猫を取り出す方法 名探偵音野順の事件簿
北山 猛邦

東京創元社 2009-08-28
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「違いますよ。うちの順なら、あなたが殺される前に犯人を見つけ出して、犯人の思惑を阻止します」

 北山猛邦氏の『密室から黒猫を取り出す方法 名探偵音野順の事件簿』を読了。北山氏とは相性が良いというのか、かなりの確率で、僕が読みたいと思った、あるいは書きたいと思った作品を書いてくれる。1トリック1エピソードという軽い感じの短編を5編収録。トリック単体だけを見ると、明らかにおかしいだろうと思えるものもあるけれど、それを補っているのが、世界一気弱な名探偵(とその助手)のキャラクタか。
 犯人が事件を起こす前に犯人を指摘し、事件を未然に防ぐという「停電から夜明けまで」。効果的な倒叙の使い方に唸る(この趣向はいつか試してみたかったけれど、このようなやり方があったのか)。正確には、名探偵音野順は犯人を指摘しない。一言もしゃべらず、いつも通り、びくびくおどおど震えているだけである。これは、説明の仕様がないので、実際に読んでもらうしかない。「クローズド・キャンドル」は、物理の北山健在という作品。図版が入るだけで、喜ぶミステリ読者は少なくないだろう。本作では新しいペンギン登場──ではなくて、探偵が登場する。こちらは、音野と違って、典型的な名探偵。『ミステリーズ!vol.36』にて、本シリーズは終了したようだけど、再び登場していたのだろうか。最終巻が発売されるころに、エニックス辺りが漫画化していても違和感はない。(2009/12/17)
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あのねこながい。
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もぐさ。僕っ子(大嘘)

Author:もぐさ。僕っ子(大嘘)
30代フリーター。アルバイトで食いつないでいます。

体調維持。腹八分目。消化で体力を消耗しない。節約して貯金。同情より金。とにかく金。同情するなら金をくれッ!!

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