「喧嘩したかったらね、もっと陰湿にやりなさいよ。そんな開けっぴろげで公明正大な喧嘩は鬱陶しいだけ。もっと執拗に計画的に徹底的に、相手に肉体的かつ精神的なダメージを的確に与えることだけに集中する。その場では笑って相手を油断させておいて、夜になったらこっそり行動開始。一撃必中、即離脱。わかった?」
(六人の超音波科学者/森博嗣)
結局、キレたら殺してやるとか、殺してしまおうとか、そのように考えてしまうのは、僕の頭が悪い証拠でしかなく。瀬在丸紅子さんだったら、もっと的確で端的な方法を思いつくのだろうな、と思ったり。
残業続きの合間、せっかくの貴重な休みなのに、ムカついて酒飲んで、ぐたぐたと過ごしてしまい、どうにか図書館へは行ったものの、がつがつ買ってがつがつ飲んでしまう。明日は仕事があるというのに。本来なら、図書館のち執筆のち読書のちブログの最終記事。これまで書けなかった何件かを書くはずだったのに、それもできなくなってしまった。今書いている記事は、本来書くはずではなかったものである。
状況的には、去年と似たようなもので、新しく入ってきたおっさんがウザい。去年のアレは、まだ同年代だったけど、40歳を越えた、いい歳したおっさんが、一言二言注意されたからって、無視してくるってなんだよ。他の社員にはペコペコしている癖に、俺とふたりになると、あからさまに態度を変えてるんだよ。腹立たしいのは、まさかそんな人だと思わなかったから、俺が丁寧に仕事を教えて、残業で遅くなったときなど、一緒に帰ったことで。
人を見る目がなかったと言わればそれまでだけど、始めから疑って掛かるなどできるかよ。少なくとも、最初の2週間くらいは、表面上はまともに見えたしな。ある程度仕事を覚えたから、こいつには教わらなくてもいい、他の人に訊けばいい、と思ったかどうかは解らないけど、これまで丁寧に仕事を教えてきた相手に、唐突に無視されて、あからさまに態度を変えられて、ムカつかないわけがない。
去年の二の舞は御免だし、こんな奴のせいで仕事を辞めたくはないので、ある程度話せる社員や同僚には、早々に報告しておいたけど、状況は変わらないだろう。去年、僕を助けてくれた社員の方はもういないし、それこそ、部署変更など、職制レベルの上司に言わなければ叶わない。というか、その上司が、僕を助けてくれた上司を辞めさせたのだ。そうなると、自分で対処するしかなく、舐められているのなら、圧倒的な暴力で後悔させてやる、などと考えるのが低能で。
そのように不穏なことを考えていたけれど、母親に電話を掛けて冷静になって、さすがに、暴力的な手段で解決したい、などとは言えないし、向こうが無視するなら、こちらも無視してしまえばいい、という最初に自分が考えた結論の補強のようなもので。客観的に考えれば、それがもっとも妥当だろう。他人を変えるのは無理なので、変えるなら自分しかない。
母親の言ったことも含めて考えたところ、仕事なんか適当にやってしまえばいい。こちらはもう、できるだけの対策はしている。社員にも伝えたし、上司にも言った。ムカつくおっさん本人にも、嫌々ながらも確かめている。それで仕事が遅れても、支障が出ても、俺が知るかよ。あのアホウのために、俺が暴力沙汰で仕事を辞めるなど、それこそアホウな話だ。
だからもう、仕事なんか適当にやるよ。いい加減でいいよ。自分ひとりで担当する作業は、これまで通りきちんとやるけれど、ムカつくおっさんと一緒の作業は、遅れてもミスが出ても知らねえよ。意思疎通ができないのは、おのおっさんが悪いんだから。褒められた方法ではないけど、暴力で解決するよりはマシだろう。そんなことに、関わっている暇なんかないのだ。
残業はともかく、ムカついて、帰ってから小説の書けない日が多過ぎる。ブログ書きを止めたんだから、その分は、執筆と読書に回せ。
人は人に影響を与えることもできず、また人から影響を受けることもできない。