カステラ

かすてぃらかすてぃら
さだまさし

小学館 2012-04-05
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「おい、とうとう、お前は自分の歌に追いついたなあ! いや、出来た。良くなったなあ」

 さだまさし氏の『さだのヤバいじいちゃん』を──って、違うよ、間違えた。『かすてぃら 僕と親父の一番長い日』を読了。BGMは『父を送る』。内容は、副題の通り、僕と親父の一番長い日。「親父の一番長い日」を知らない方には、歌手さだまさしと父親、その家族を巡る物語と説明しておく。
 どこかで聞いたような話ばかりだなと思ったのは、さだ氏のコンサートでのトークや曲の歌詞で、折に触れて聞いていたからだろう。さだ氏の曲は、家族を唄ったものが多いのだ。当然、本書で初めて知ったエピソードもある。父親の荒唐無稽さ、破天荒振りが良く解る。昭和30年代とはいえ、ヤクザの親分から、伯父貴と呼ばれる堅気の男って、とんでもない親父だよ。
 父親の物語を軸に、家族や周囲の人たちの話を混ぜる構成は、曲の合間にトークを混ぜる、父との思い出を語る、さだ氏のコンサートを思わせる。ただ、これまでの作品と違って、小説のような感じがしなかった。理由のひとつに、空行の多用が上げられる。強調したい科白や場面など、左右の行を開ける手法は『精霊流し』のころから使われていたけれど、本書ではそれが多過ぎる。ここは繋げても良いのでは、と何度思ったことか。歌詞を集めて、小説の体裁にしたような印象を受けた。初の実名小説ということで、文章の書き方が変わってしまったのかね。とはいえ、泣かせ所、感動させ所が解っているのは、さすがさだまさし
 
 以下は個人的なことだけど。さだまさしデビュー30周年記念コンサートの大阪会場で、ホールの出入口でお客さんに囲まれて、挨拶や握手をしていた年配の方を見掛けたことがある。あの人はいったい誰だろうと、一緒に行った、さだまさし研究会の方に訊ねたところ、さだ氏の父親、雅人氏だと知って驚いた覚えがある。さだ氏本人ならともかく、父親がどうしてあんなに人気なのだろう。
 当時の僕は、さだ氏のCDを集めている途中で、父親とのエピソードをほとんど知らなかった。しかし、今なら納得できる。ある意味、さだ氏よりもすごい人なのだ。本書を読み終えた今、尚更そう思う。あれはもう、10年近くも前になるのか。せめてもう1度、大阪にいるうちに、さだ氏のコンサートに行きたいものである。
人は人に影響を与えることもできず、また人から影響を受けることもできない。

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