最終試練

絶園のテンペスト(8) (ガンガンコミックス)絶園のテンペスト(8) (ガンガンコミックス)
城平 京 彩崎 廉 左 有秀

スクウェア・エニックス 2013-01-22
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「誰が どうやって何のために 私を殺害したか? その謎を 今こそ私が解き明かしましょう」

 『絶園のテンペスト8』を読了。不破愛花によって、ついに不破愛花殺人事件の犯人が明かされるのだが、やはりいつもの城平京。「意外な解決」や「意外な真相」ではなく、地味でも、着実に犯人に至る伏線や手掛かりを残している。デビュー作から、その傾向はあるけれど、前人未到の大トリックといった作品はなく、先例のある手法を組み合わせ、先例のない物語を組み立てている。真相を知って、葉風が慟哭する場面は、瀬川みゆきを彷彿とさせる。「頼むから、そんな安易な物語を唱えないでくれ」
 アニメ放送開始時点で、連載誌では犯人の正体が明かされていたようだけど、そのようなネタばらしを見なかったのは幸い。タイトル通り、『テンペスト』の結末に至るのなら、愛花のメッセージが、吉野と真広の最後の救いとなるのだろう。次巻が最終決戦で完結か。アニメと同時に連載が終わるようなので、原作基準で放送されると考えておこう。外伝の掲載を楽しみにしている。
 一方、地味な探偵、地味な犯人と違い、これまでにない活躍をしたのが羽村めぐむ。愛花のバックアップとしての魔法使いだったため、知識と精神の構成が追いついていなかったようだけど、本巻でついに、絶園の魔法使いの片鱗を見せる。絶園パーンチ! このシスコンがーっ! みたいな。つうか、愛花が過去の主役なら、現在の主役は羽村だろ。つまり本作は、意外な犯人ではなく、意外な主人公に驚く作品だったのだ(ノ゚⊿゚)ノびっくり!!
 
 地味な探偵、地味な犯人と書いたけど、ミステリ初心者にしてみれば、なんてこった、とんでもない展開だよ、と思われた方がいるかもしれない。ただ、ミステリをある程度読んでいると、「被害者が犯人で探偵役」というパタンは先例がいくつもあって、それほど驚けない、地味に感じてしまうのだ。この手法を使った作品で僕が好きなのは、やはり、太田忠司氏の『僕の殺人』か。新本格黎明期の、新本格を外れた本格ミステリ。思い返すと、他の新本格作品は、トリックやどんでん返しやら、ミステリ要素を楽しみに読んでいたけれど、主人公の言動や考えに、あたかも自分を重ねながら読んだのは、太田作品だけだった。

僕の殺人 (講談社文庫)僕の殺人 (講談社文庫)
太田 忠司

講談社 1993-10
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それが、実弾だ。生活に打ち込む、本物の力。

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