銀の匙

【2014年2月25日公開】

 車谷長吉氏の『鹽壺の匙』を読了。暗くてしんどくて重過ぎる。何かを生み出すエネルギーは暗さから、と言った歌手がいたけれど、強ち間違っていない。殊に、あとがきが沁みる。

 詩や小説を書くことは救済の装置であると同時に、一つの悪である。ことにも私小説を鬻ぐことは、いわば女が春を鬻ぐに似たことであって、私はこの二十年余の間、ここに録した文章を書きながら、心にあるむごさを感じつづけて来た。併しにも拘わらず書きつづけて来たのは、書くことが私にはただ一つの救いであったからである。凡て生前の遺稿として書いた。書くことはまた一つの狂気である。
(『鹽壺の匙』あとがき/車谷長吉)
それが、実弾だ。生活に打ち込む、本物の力。

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