自殺の話をしよう

 毎年6月と11月は、決まってあの子のことを思い出してしまう。6月は命日、11月は誕生日である。誕生日は僕と数日違いなので、あの子が生きていれば、常に僕と同じ歳なのだ。そのせいで、6月と11月は、僕の鬱々な性格が更に鬱々になっているわけだが。
 これまでずっと、何か苦しいことがあって、つらいことがあって、生きていけないようなことがあって、あの子は首を吊ったのだろうと考えていた。だから、あの子が生きていけないような世界で、どうして僕が生きているんだろう、僕が生きていけるはずがない。そう思い込んでいたけれど。
 もしかして、あの子は前向きに死んだのではないか。後ろ向きな理由で死んでなんかいない。12年経って、初めてそんなふうに思ったのだ。人類最強が絶望するような何かがこの世界にあるのなら、僕が生きていくのは大変だろう。生きるのを諦めても仕方がない。そんなことを考えていたけれど、そこまでの絶望がないのなら、これからも僕は生きていけるかもしれない。
 普通の人間であれば、前向きに死ぬなんて難しい。だけどあの子はそういう人間ではない。やると決めたことをやれる子なのだ。後ろ向きではなく、前向きに死んだのだとしたら。救われるのは僕だ。今後も、僕は生きていけるかもしれない。
 遺書もないし、身内にも親しい友人にも何も話していない。死人に口なし。いくら考えたところで、あの子の考えていたことなんて解りはしない。それならば、僕が勝手に決めてしまえば良い。あの子は前向きに死んだのだ、世界にそこまでの絶望なんてない。誰にも文句は言わせない。
自分の夢のために、子供を道連れにしないように。

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