情を継ぐ

情継 こころをつぐ情継 こころをつぐ
さだまさし

Universal Japan 2009-03-25
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 僕はひばりさんに挑むことを止め、代わりに愛を込めて寄りそうことにした。

 さだまさし氏の『情継 こころをつぐ』を聴取。さだまさし氏が美空ひばり氏の曲を唄うカバー・アルバム。35周年記念アルバムとして同時発売された、『さだまさしトリビュート さだのうた』は発売日に購入したけれど、こちらは1年以上経ってからの購入。『さだのうた』や『originals Masashi Sada Songbook』は、他の歌い手が唄っているとはいえ、それでもやはりさだまさし氏の曲という印象がある。けれど本アルバムはその逆だったので、買うのをしばらく躊躇っていた。NHKの番組で、「川の流れのように」を唄われ、結構売れているという話も聞き、ようやく購入した次第。 
 確かに、名曲ばかりが収録されているのだろうけれど、美空ひばりという歌い手の名前程度しか知らない僕にとっては、さだ氏のカバーがどれだけ原曲に近いのか、あるいは、あえて違うように唄っているのは解らない。落ち着いた感じの曲が多く、時代に拘わらず聴けると感じた。しかし、女の人のようにしか聴こえないさだ氏の歌声は、いつもながらすごい。(2009/12/09)
人は人に影響を与えることもできず、また人から影響を受けることもできない。

パンドラ

パンドラ Vol.4 (講談社BOX)パンドラ Vol.4 (講談社BOX)
講談社BOX

講談社 2009-08-21
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 『パンドラVol.4 2009 SUMMER』を、購入日を含めて4日で読了。座談会だけでなく、雑誌そのものが低調。N村氏の表紙イラストと、西尾維新氏の「蹴語」にお金を払ったようなもの。北山猛邦氏の「ピストル・テニス」は、いつ再開されるのか。『ファウスト』は、『メフィスト』よりも、若い読者を対象とした印象があったけれど、『パンドラ』の目指しているところも、対象としている年齢層も解りにくい。「下剋上ボックス」は面白い企画だったのに、なくなってしまったのが残念。少なくとも、参加者の中に、ミステリを書いてくれる人が何人かはいた。
 そういえば、『ファウスト』初期のころは、舞城王太郎氏も、佐藤友哉氏も、西尾維新氏も、ミステリのようなものを書いていたし(佐藤氏はそのころから違うけれど)、他の作家にも、ミステリやそれに類するものを書かれる方はいた。『メフィスト』では読めないようなミステリが読めるかもしれないと思い、『ファウスト』や『パンドラ』を読んでいて、その結果のひとつが天原聖海氏の『ファイナリスト/M』だと思っている。しかし、このような才能はそうそう現れることはないだろう。なんだろうな、このもの足りなさは。つまらなくはないけれど、面白くもない。新本格の影が、うっすらとも見えないからかな。個別に感想を書きたいと思える作品がない、というのが、今回の『パンドラ』全体に対しての感想かも。(2009/08/27)
人は人に影響を与えることもできず、また人から影響を受けることもできない。

パンドラ

パンドラ Vol.4 (講談社BOX)パンドラ Vol.4 (講談社BOX)
講談社BOX

講談社 2009-08-21
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 まさか、『パンドラVol.4 2009 SUMMER』を置いている本屋に『メフィスト 2009 VOL.2』がないとは思わなかったので、それぞれ別々の本屋で購入。『メフィスト』より『パンドラ』の方がマイナ、というイメージがあるからかな。感想は別に書くので、とりあえず、初見の印象を。
 表紙がとても良い。N村氏の活躍には期待が持てる。「活字たちよ!」という、テーマについて、2代目編集長が冒頭で触れている。今や映像化されているけれど、山田風太朗氏の『甲賀忍法帖』や、あさのあつこ氏の『バッテリー』を読んで、小説という媒体のすごさを改めて知らされた僕にとって(ファーストインパクトは、言うまでもなく『十角館の殺人』)、小説はディスプレイで見るものではなく、紙に印刷された活字を読むものである。冒頭の挨拶に共感したものの、最初の特集が、アニメ「化物語」( ゚д゚)ポカーン 紙媒体を持ち上げておきながら、映像・音声媒体の特集続き。いや、まあ、「テキスト」から発信されたもの、というのは解るけれど、この特集で初めて「化物語」を知った人は、原作を読もうではなく、アニメを見ようと考えるのでは。続いて「428」というゲームの特集。PS3とPSPに移植と書かれているけれど、原作ゲームについての情報がない。若い世代が、すべてゲームをすると思うなよ。コンシューマなら、任天堂かソニーのどちらかだろう。インタビューがすごく読みにくい。人の顔を背景に文章を読むのは遠慮したい。『ひぐらしのなく頃に』という同人ゲームを購入するかしないかを迷っていた時期に、『ファウスト』の『ひぐらし』特集を読んだことで、これは買ってみよう、と思えたけれど、本作に関してはそのような気持ちはない。タイトルだけは覚えておこう。『雷撃☆SSガール』のお試し版。刊行当初は、小柳粒男氏や泉和良氏の受賞作を掲載していたのに、いつの間にかなくなっているのが残念。面白い作品であれば、雑誌で読んでも、書籍を購入するのに。ただ、このお試し版、なんで科白がすべて太字になっているのか。いやこれ、科白じゃなくて、鉤括弧と二重鉤括弧内だけが太字になっている。なんの意味があるのだろう。じゃがいもにけがはえた? こちらを先に読んでいたら、図書館に入るのを気長に待っていたと思う。
 ──なんというか、初見の印象って、不満点ばかりではないか。内容を読んだのち、反転することを祈ろう。
 座談会が低調。『幻惑の死と使途』と『夏のレプリカ』は、時期が同じというだけで、事件それぞれに関連はない。『メフィスト』のように、一言コメントのページを作ったのは良かったけれど、寄せ書きは見にくい。1000枚を超える作品が多くなったということは、『メフィスト』の座談会でも言われていて、最近の投稿者はすごいな、パソコン効果かな。僕の執筆速度がもっとも早かったのは、原稿用紙に手書きで書いていたころ。ワープロに替えて、パソコンに替えて、どんどん遅くなっているような気がする。それでも、現在執筆中の原稿は1000枚を超えているので、応募先は限られてしまう。毎回応募している「ヤギのアザゼル」さんを、年齢が近いこともあって、こっそりと応援していたのだけれど、今回の応募作がパロディ小説だったことにがっかり。受賞できないことを前提に書いているんですか? Ts氏の発言はもっともだと思いますよ。座談会が低調だと、読んでいる方も低調になってしまう。次号予告に、発売日がないけれど、そちらの方が安心だ。 (2009/08/25)
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ももから

ももんがあ からっ風作戦ももんがあ からっ風作戦
椎名 誠

文藝春秋 2009-01
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 椎名誠氏の『ももんがあ からっ風作戦』を読了。いつものことながら、内容とはまったく関係のないタイトルである。椎名氏を知らない方がタイトルだけを聞いたら、どのような物語を想像するのだろう、ということを考えてしまったので、内容は書かないでおく。 (2010/01/23)
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親子三代

続 大きな約束続 大きな約束
椎名 誠

集英社 2009-05-01
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「サンフランシスコは風の街なので“風太”という名前にしたいんだけどどうかなあ」
 と彼は電話で聞いてきた。
「いい名前だよ」
 わたしは言った。

 椎名誠氏の『 大きな約束』を読了。惹句には親子三代の物語とあるけれど、『岳物語』の数年を経た編、という印象が強い。「アゲハチョウ」という一編は、予想した通り、『岳物語』の内容に踏み込んでいて、当時語られなかったエピソードが語られている。
 自宅にいるときはひたすら原稿を書いているのだが、そのような地味なことをエッセイに書くことはせず、面白かった取材旅行の話などを書いているので、毎日遊んでいるように思われている、という文章を読んで、それはあるかもしれないな、と思った。しかし苦労を表に見せないところはやはりすごい。自身の都合で締め切りを先にした原稿があるとはいえ、1カ月に40本の原稿を書き上げる様には脱帽。歳を取るに連れて、原稿を書くスピードが増しているそうで、じいじいになってからも、これまで以上に活躍してくれるのだろう。ただ、『岳物語』と、その後のエピソードから鑑みるに、今後の風太くんとのエピソードを、私小説といった形で綴ることはないような気がする。(2009/11/12)
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女優作家

水の彼方 ~Double Mono~水の彼方 ~Double Mono~
田原 (Tian Yuan) 泉京鹿

講談社 2009-06-26
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 田原(Tian Yuan)氏の『水の彼方 Double Mono』を読了。講談社BOXからの刊行だけれど、箱なしソフトカバーで、ロゴマークも入っていない。講談社BOXではなく、講談社から発売されました、というのを優先した製本。表紙のモノクロ写真は田原氏本人。しかし、作者が女優をやっているからといって、小説の表紙に自分の写真を載せるのはどうにも違和感が。ノンフィクションとか、ドキュメンタリーというのならともかく。原著『双生水莽』の表紙の方が、おそらく手に取りやすい。内容も、講談社BOXがこれまで刊行してきたものとは違う。対象読者は明らかに異なっているだろう。
 なんというか、良く解らない話だった。いや、物語の流れは解るのだけど、意図的に、構成を曖昧にしている。主人公の女子高生は、頭の中に象魚(ピラルク)を飼っていたり、恐竜の泡が見えたり、白昼夢として、断片的な過去が次々と回想されたりと、現実なのか、幻想なのか、記憶なのか、読むのになかなか骨が折れた。幻想的な青春小説と呼べば、聞こえは良いけれど、僕にはとっつきにくいという印象しかない。一方、舞台が中国であることは、大して気にならなかった。高校生の日常は、この国と大して変わらない。問題を解決せず先へ進み、新しい問題も解決せず更に先へ進む、という繰り返しは気になったけど。まあ、どの国の若者も、似たようなものなのかな、という感じ。(2010/01/04)
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貧困時代

単身女性の3人に1人 手取り-家賃=8万5000円未満  「貧困女子」時代をかしこく生きる6つのレッスン単身女性の3人に1人 手取り-家賃=8万5000円未満 「貧困女子」時代をかしこく生きる6つのレッスン
花輪 陽子 ふじい まさこ

角川書店(角川グループパブリッシング) 2013-01-10
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「貧困じゃなくて ただの貧乏ね」

 花輪陽子氏の『単身女性の3人に1人 手取り-家賃=8万5000円未満 「貧困女子」時代をかしこく生きる6つのレッスン』を読了。引用に挙げた、姐さんの言葉がすべて。なんだよ、「貧困女子」って。国立社会保障・人口問題研究所の調査で解ったのは、一人暮らしの女性(20~64歳)の3人に1人が貧困である事実。所得から家賃を引いた額が、8万5000円を切ってしまう人々が貧困状態であるといっているだけで、「貧困」と「女子」をくっつける必要はない。
 おそらくメディアが作った言葉だろうけど、この定義であれば、僕は「貧困男子」だよ。「男子」じゃ視聴率取れねぇよ、「女子」にしとけ、みたいなやり取りがあったのだろう。最初はテレビで放送されたようだし。「貧困女子」という言葉だけが一人歩きしている。今人気の女の子は「貧困女子」だ、みたいな。それが証拠に、「貧困女子」をタイトルに入れた書籍までが発売されるという。しかし、出版社もボランティアではないのだから、興味を惹く言葉を入れるのは仕方がない。
 残念なのは、「貧困女子」を謳っておきながら、手取り15万円を基本に、家計をやりくりする具体例を紹介しているところ。去年の12月から時給が30円上がったけれど、僕は、そんな大金をもらったことはねぇよ。1カ月12万円で、4分の1を貯金するのはとんでもなく難しい( ノД`)シクシク… 食費と定期は削れない。
 「貧困女子」という言葉を除けば、本書は、節約や貯金について書かれた、低所得の方に役立つ実用書。章ごとにコミックを挟んであり、面白くて、楽しめる。僕にとって役立ちそうなのは、社会制度や保険の章か。基本的なことを知っておき、それから詳しく調べた方がいい。もっとも、本当の貧困に陥っている女子が、本書を買えるとは思わない。畳のケバケバとか、トイレットペーパとか、まずくて( ノД`)うえぇぷっ…

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他生の縁

七人の王国―総理大臣は十七歳 (メディアワークス文庫)七人の王国―総理大臣は十七歳 (メディアワークス文庫)
峰月 皓

アスキーメディアワークス 2012-10-25
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「日本のすべての人が『いざとなったら行けばいい』そう思える場所がある。僕たちはそういう国を目指しています。日本の社会に否定されても、多生島に行けばいい。そのために、僕たちは日本と対等の社会を作りたいんです」

 峰月皓氏の『七人の王国 総理大臣は十七歳』を読了。冒頭の引用に惹かれるかどうか。それがすべて。高校をふたつ辞めて、他の学校やら施設のようなところへ行った僕からすると、いじめられた人たちでグループを作っても、その中でいじめが発生する。日本だろうと、他の国だろうと、同じようなことが繰り返される。そう思っているので、日本からの独立といっても、まったく興味を惹かれなかった。
 しかし、それも当然といえば当然で、新国家設立の物語なら、至道流星氏の『羽月莉音の帝国』が第一位。人類史上最大のスケールという試みに、至道氏自身の経験や知識を活かした、限界いっぱい意味ある内容を詰め込んだ作品。本作のあらすじに壮大な物語とあるけれど、壮大のスケールがまったく違う。
 『俺のコンビニ』や『俺たちのコンビニ』の感想で、物語の進捗速度が遅過ぎると書いたけど、本作はその逆で、新しい国を作るのに、とんでもなく展開が早過ぎる。そのため、滅亡も早過ぎるわけだが。小じんまりとした、『俺のコンビニ』シリーズの続編を期待しておこう(=´―`)ノ ヨロシク
 参考として。以下に、羽月莉音の建国理由を挙げておく。どちらに惹かれるかは人それぞれ。

「私は日本に興味はない。私たち自身の国に興味がある。そこで世界を統一する、新しい金融の仕組みを作りあげるの。いったん世界を滅ぼしてでも、世界を再生してみせる」
羽月莉音の帝国4/至道流星

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天国の涙

おいしいコーヒーのいれ方 Second Season VII 記憶の海 (JUMP j BOOKS)おいしいコーヒーのいれ方 Second Season VII 記憶の海 (JUMP j BOOKS)
村山 由佳 結布

集英社 2012-06-26
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 村山由佳氏の『記憶の海』を読了。しばらく振りの日本編。勝利が日本を逃げ出して、オーストラリアでうだうだぐたぐたしている時期、かれんを始め、日本に残された人たちの話。日本編ということで、語り手はかれんの弟の丈で、今風に言うと、勝利よりもリア充なんじゃね、みたいな。
 『凍える月』のラストで、例の事件が起こったものの、次巻の『雲の果て』で勝利がオーストリアへ飛んでしまい、続く『彼方の声』でも、事件のことや、日本のことはほとんど触れられず仕舞い。語り手が勝利である以上、勝利が考えない、思っていないことは、読者には知りようがないからな。
 とはいえ、勝利がいなくなったところで、殺された子供が生き返ることはなく、由里子さんやマスターはもちろん、丈やかれんや叔母夫婦、関係者たちは、そのことを認めた上で生きていかなければならない。時系列は、勝利がオーストラリアへ行ったころに戻り、丈の視点により、例の事件のその後が明かされる。勝利が2巻分もうじうじしているのに、かれんも由里子さんも、京子も、おそらく星野も、みんな前へと進んでいる。勝利がぐたぐたしている、1巻分の時間でな。
 確かに面白い構成ではあったけど、人気作家で、売れ行きが安定しているからこそ、といった感じがする。新人作家では、ヒロイン不在のエピソードを2巻も書かせてはくれないだろう。その次は、主人公が不在だなんて。シリーズが長く続き過ぎて、かれんが美術の先生をやっていたことなんて忘れていた。もっとも、刊行ペースが遅いから長く感じるだけで、シリーズを、1年、2年で完結まで書いている作家は何人もいる(森博嗣氏や至道流星氏など)。
 マスターのひげがなくなり、すべてが打ち明けられるのか、というところで次巻に続く。サイトは見ていないし、見る気はないのだが、次巻がこのまま日本編の続きなのか、またしても、勝利視点に戻ってしまうのか。いずれにしても、何も知らない勝利が戻ってきたときは、残された人たちの変わりように、驚くこと間違いなしだよな。
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心身一如

人間の覚悟 (新潮新書)人間の覚悟 (新潮新書)
五木 寛之

新潮社 2008-11
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 どんなに惨めであっても、生きていることには大した値打ちがある。何の命でも、だれの命でも存在するだけですごいことなのです。

 五木寛之氏の『人間の覚悟』を読了。年に何度か、五木氏の著作を読みたくなり、衝動的に図書館で借りてくることがある。明るい方向の面白さではなく、暗い方向の面白さを求め、気持ちを落ち着かせる、安定させるために読むのだ。落ち込んだときに、元気を出そうを明るい曲を聴くのではなく、暗い曲を聴くのと同じ感覚である。暗い歌ならさだまさし、暗いエッセイなら五木寛之、みたいな。暗いというと誤解を招くかもしれないが、人間のすべてを淡々と書くのだ。良いところだけでなく、悪いところ、嫌なところ、それこそ、目を背けたくなるようなことでも。
 平壌からの引揚げ、極限状況を通り抜けているせいか、語りは丁寧でも、言葉がことごとく重い。引揚者は皆悪人で、自身も悪人であるという覚悟。それが生き方に影響していることは、これまでのエッセイにも顕著。第一章と最終章が、とんでもなく暗くて重い。「覚悟」とは、「諦める」ことであり、「明らかに究める」こと。しんどいけど面白い。
人は人に影響を与えることもできず、また人から影響を受けることもできない。

ナベカマ

あやしい探検隊北へ (角川文庫)あやしい探検隊北へ (角川文庫)
椎名 誠

角川書店 1992-07
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「そういうもんだよ。おれたちはやっぱり演歌なんだよ。その中でもとりわけおまえが一番演歌だったのに、そいつがトロピカルになっちゃうとなにかがどこかで困ってしまうんだなあ……」

 椎名誠氏の『あやしい探検隊 北へ』を読了。1作目から17年越しで、ようやく2作目を読了。これは僕が読まなかっただけで、3作目以降も、順次刊行されている。元本の刊行が1984年、本書は1980年前後の「東ケト会」の活動記録が主であるけれど、今読んでも、まったく古さを感じさせない。30年の時間差など関係なく、メンバそれぞれが、独特で魅力的で怪しくて、そちらの方に興味を惹かれてしまうのだ。
 この人たちは、本当に、ばかばかしいことを、楽しそうにやっているんだよ。椎名氏の他の著作でも思うことだけど、中でも、沢野ひとし氏の発想がすごい。「山田大会」という得意技がとんでもないし、それに乗れる仲間達もいい。木村晋介氏も一緒なんだからなあ。面白いよなあ。「まあビールでも飲んでいきなよ山田君」 
 タイトルは「北へ」となっているけれど、北へ向かう話ばかりではなく、南の島の話も書かれている。演歌が好きな編集者が、タイトルを「北へ」にしましょうよと提案したらしい。編集者までもが、怪しくて不思議な人なのだ。書く方も楽しく、読む方も楽しく、更には作る人までが楽しかったというのは、とんでもなく素晴らしい本ではないか。
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寝る場所

ネットカフェ難民―ドキュメント「最底辺生活」 (幻冬舎新書)ネットカフェ難民―ドキュメント「最底辺生活」 (幻冬舎新書)
川崎 昌平

幻冬舎 2007-09
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 先のことなんて知らないし、知りたくもない。僕には明日しかない。

 川崎昌平氏の『ネットカフェ難民 ドキュメント「最底辺生活」』を読了。2012年の読了本が55冊という、ここ16年では最低の少なさだったため、今年はがつがつ本を読むぞ、と思い、年明け早々、元日に読み始めた。年越し無職だった去年は、『今日、ホームレスになった』と『ビッグイシューの挑戦』を借りてきたものの、職のない状況で読むのがきつく、結局読まずに返してしまった。その雪辱を晴らすべく、1年前と同様、閉館する前の年末の図書館にて、同様のテーマの作品を借りてきたのだ。それと、今年は新書を読んでみよう、と思ったこともある。
 タイトルと裏表紙のあらすじが合っていない。「メディアが映し出さない“最底辺”の実録」とあるけれど、最底辺じゃないから、映し出さないのでは、と思ってしまった。バイト代出すので、1カ月ネットカフェ難民やってくれませんか、毎日、日記を書くことを条件で、みたいな。なんというか、余裕のある人なんだよ。
 いや、ネットカフェ難民すべてが、切羽詰まっていることもないだろうけど、タイトルから想像していた内容とは違っていた。不定期とはいえ、家庭教師のアルバイトをしているし、いよいよとなれば、実家に帰ることもできる。無職期間に死にそうな生活をしていた僕にとっては、これだけ裕福なのに、難民なんて言葉を使うなよ、と思ってしまった。個人のブログを見ていると、本書よりも厳しい生活をされている、強いられている方はたくさんいる。
 とはいえ、ブログとは違って、文章は読みやすく、章ごとの注釈も解りやすい。それに、考えや発想が独特で面白い。ネットカフェについては、さすがにそこで生活しているから、かなり詳しく書かれている。なるほど、と思うこともしばしば。ネットカフェ難民とはどういうものか、その触りを知るのには適しているのかもしれない。
人は人に影響を与えることもできず、また人から影響を受けることもできない。

ぴよぴよ

小春原日和の育成日記(5) (電撃文庫)小春原日和の育成日記(5) (電撃文庫)
五十嵐雄策 西又葵

アスキー・メディアワークス 2012-09-07
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「……わ、わたしといっしょに、夜の営みをしてもらえないでしょうか……っ……?」

 五十嵐雄策氏の『小春原日和の育成日記5』を読了。五十嵐氏の作品は、デビュー作以降、すべての作品を集めているけれど、感想を書くことは意図的に避けていた。読んでいる本すべての感想を書いていないので、当然、取捨選択しているのだが、いかにもあれな素敵イラストで、これこそライトノベルという内容のため、読んでいるだけならまだしも、そのことを感想として掲載することに躊躇っていたのだ。羞恥に負けて、好きなものを好きと言えないのは、オタクの風上にも置けない。
 最近になって、ようやく感想を上げるようになったのは、『乃木坂春香の秘密』が完結したことと、一種の開き直りのようなもの、ことに、何を恥ずかしがることもなく、正々堂々とライトノベルの感想を書いているブログを読むようになったことが大きい。なんてこった、ライトノベルは、決してライトに扱って良いものでない、と己の不明を恥じた。これからは、五十嵐氏の作品も、普通に感想を書こうと思った次第。
 そんなわけであるけれど、盛り上がりも盛り下がりもなく、良く言えば安定している、悪く言えば同じことを繰り返すだけのシリーズ。登場人物が増え過ぎて、科白だけのキャラが何人かいるので、誰が誰だか解らなくなっている。それでも、物語のメインのキャラには挿絵があって、そうか、これがあの子だったのか、とようやく解るのだ。127ページの布団配置は新機軸。すっげぇ表現の仕方だな。
 あとはまあ、予定調和というか、お約束の展開ばかり。日和さんが言うには、目の疲れには、ブルーベリーよりも小豆の方が効果的なのだとか。これは確かに豆知識。ふと思ったけど、「さくら荘のペットな彼女」って、本シリーズのタイトルにこそ相応しいんじゃね。
人は人に影響を与えることもできず、また人から影響を受けることもできない。
あのねこながい。
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もぐさ

Author:もぐさ
30代フリーター。アルバイトで食いつないでいます。

ブログを書くのは週1時間、土曜30分+α、日曜30分+α。数日遅れで公開しています(当日日記の後日公開)。

体調維持。腹八分目。消化で体力を消耗しない。節約して貯金。同情より金。とにかく金。同情するなら金をくれッ!!

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